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2025年9月14日、茨城県大洗町の大洗ゴルフクラブで行われた国内女子ゴルフメジャー第2戦「ソニー日本女子プロ選手権」。この歴史ある大会の最終日、ツアー本格参戦から7年目を迎えた金沢志奈（かなざわ・しな、30歳）がついに念願の初優勝を飾った。しかもその舞台は国内メジャー、そして地元茨城での戦いだった。彼女にとってこれ以上ない最高の瞬間となった。
最終ラウンドを「71」で回り、通算10アンダーで桑木志帆（22歳、大和ハウス工業）と並んだ金沢は、運命のプレーオフに突入した。18番ホールでの一騎打ち。ティーショットを右ラフに打ち込んだ瞬間は不安が走ったものの、ボールは打ちやすいライに止まっていた。その幸運が彼女の気持ちを強くし、「勝つぞ」という決意を胸に第2打を放った。7番ウッドで積極的に攻めたショットはグリーンを外したが、ラフに転がらずカラーに止まる。そこから寄せて50センチのパーパットを沈め、劇的な勝利を手にした。
「勝てそうで勝てない」というイメージを長く背負ってきた金沢。今季も2位や3位で終わる試合があり、昨年のリゾートトラスト・レディスでは首位を走りながら最終日に崩れる苦い経験もした。しかし彼女はその度に考え方を変え、スタイルを進化させてきた。「これまでは守りのゴルフ、安全な方ばかりを選んでいた。でも、それでは若い飛ばし屋たちに勝てない。だから攻めるスタイルに変えた」。その意識改革こそが、今回のプレーオフでの果敢なショットに表れていた。
大会を振り返って金沢は「初日からラッキーが続いていた。曲がっても打ちやすい所に止まってくれる“ラッキーパワー”があった」と語った。弱気を封印した自分へのご褒美のように、初優勝は彼女の実家からわずか30分の距離にある地元コースで実現。大勢の知人や地元ファンの前で晴れ姿を披露できたことも特別な思い出になった。
小技の巧さに定評があった金沢だが、細身の体格で飛距離不足が課題だった。その弱点を克服するため、3年前から筋力トレーニングに本格的に取り組んだ。スクワットやデッドリフトを重ねることで体力とショット力を強化。「ショット力が増してバーディーチャンスが増えた。悪い癖が出ても修正できるようになった」と語る。お花屋さんになるのが夢だった少女が、努力と鍛錬で逞しさを増し、日本一を決める大会で堂々とトロフィーを掲げたのだ。
プロフィールを振り返ると、金沢志奈は1995年7月29日生まれ、茨城県笠間市出身。164センチ、53キロ。8歳でゴルフを始め、岩瀬日大高から中央学院大へ進学。大学を中退後、2017年にプロテスト合格。2015年のユニバーシアードでは団体・個人で銀メダルを獲得し、2016年には日本女子学生ゴルフ選手権を制した。20〜21年シーズンには初シードを獲得するなど、着実にキャリアを積み上げてきた。
長い間「あと一歩」で届かなかった勝利。その壁を破ったのは、自分を信じる心と勇気ある攻めのゴルフだった。今回の初優勝は彼女のキャリアにおける大きなターニングポイントとなり、今後さらなる飛躍が期待される。地元での勝利というドラマチックな結末は、多くのファンに感動を与え、女子ゴルフ界に新たなヒロインの誕生を告げる瞬間となった。
金沢志奈の物語は、ここからさらに続いてい
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